小学5年生の算数では体積や容積を求める学習をしますが、教えていて痛切に感じるのが生徒による“空間認識力の違い”について。“空間認識力の高い子供”というのは、教えていてもスイスイ自分の力で前に進んでいきます。反対に低い子供は脳が動かない。考えるパターンが脳にまったく浮かび上がってこないので説明を聞いても解説を読んでも?マークが並んでしまいます。では、この『空間認識力』とはいったいなんなのでしょうか。それは、現実の世界にある物を正しくとらえる力のことをいいます。丸いボールや四角いビルや長い橋といったものを3次元の世界でとらえ、そこに時間というものを加え、より複雑な状況においても正しくその場の状況を読み取る能力のことです。サッカー選手が、触れば得点になるというような絶妙なスルーパスを出すのもその選手の“空間認識力が高い”ことを表しています。是非、知っていただきたいのが、この“空間認識力”というのは勉強に密接につながっているということです。先の話の小学5年生で、体積や容積を求めるときに少しひねりを加えた問題になってくると、“空間認識力”が生徒が問題をクリアしていけるかどうかに関係してきます。したがって、私は常日頃より、「遊びを怠るな!」「遊ぶ環境があるか?」「遊ぶ相手がいるか?」ということをしきりに言います。薄っぺらい石を川面に平行に思いっきり投げたとき、石がピョンピョン飛び跳ねるのも“空間認識力”です。この力が様々な自然を通じ養えていけることが理想ですが、昔の時代なら積み木や今ならレゴブロックのようなオモチャからでもその能力は十分に身に付けることが出来ます。空間認識力が高まることによって、「複雑な形態をしたような図形でもAとBとCにこうやって分けたり」、とか「ここに補助線を引けばこういうふうな形が新たに作れるし」というのがこれまでの応用編として楽しんで考えられるようになるのです。答えを見て、次、同じ問題が出てきた時には出来るようになる、というようなやり方ばかりを頭に叩き込んでも、正解や過去の前例がない場面で太刀打ちできなくなるのがこれからの世の中です。だから、繰り返し言いますが今の子供にはもっと遊んでほしいのです。今の時期、小学生だったらプールに潜って目を開けながら潜水でどこまでいけるかチャレンジし、向こうのプールの壁が見えるまでは絶対に立たないぞ、という根性もつけつつ大いに“空間認識力”を鍛えていって欲しいと私は思います。
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