ダイジェスト版の作成が一つのやり方!

 アクティブ・ラーニングのやり方の一つに、私は、生徒たち同士がグループになって『ダイジェスト版を作成する』というようなことが効果的であると思います。たぶんグループ学習においては、すでに結果的には同じような取り組みが行われているのでしょうが、問題は生徒たちに必要な❝動機付け❞がしっかりと出来ているかどうかであって、そこがしっかりと出来ていれば効果も期待できると思うのです。どういうやり方を取り入れようが、大切なのは、生徒たちがWHY?とHOW?を用いて世界を広げ、そこで逞しく自分を鍛え成長していくこと。そこに楽しみを感じられるようになれば、こと教育に関して言えば細かいことなど心配する必要はなくなるのです。
 では、『ダイジェスト版を作成する学習』というのは、どういう内容なのかと言いますと、習ったことを要約しながらアレンジ、加工するということになります。イメージしやすい例えで言いますと、「ニュース番組にあるスポーツのダイジェスト版」です。例えば、野球。1回から9回までの間でニュースに流れるのは点が入ったとき、ピッチャーが交代になったとき、あるいは致命的なエラーや勝敗を決める決定打だけ。それらを濃縮した形で視聴者に見せることで、それを見た人は興奮のるつぼと化すわけです。「見たいのはどこなん?」「キーになる人物は誰やったん?」「その人がどうなったん?」ということです。これはすべてを最初から見ること同様おなか一杯になるばかりか臨場感の高まりやアドレナリンなどといった脳内物質の分泌で考えれば、ダイジェスト版で見るほうがその効果は高まると言えます。
 このように生徒たちには、自分がこれまでに実際に見たことがあるダイジェスト版をイメージさせ、それを見たことで自分はどのように感じるのか、自分ならどのように加工できるのかを考えさせ、そのうえで実際に学習した内容のこともこれと同じようにやってみようというわけです。

 『ダイジェスト版の作成』。こういう❝動機付け❞をまずしっかりと出来ていれば、私ならこうやる!とか、私とあなたの考えをまとめてこういうふうに表現しよう!ということが生まれてくるのだと思うのです。今はまだ、アクティブ・ラーニングの効果は未知数ということで業界では侃々諤々言われていますが、私は、教える側の先生方の力量が非常に問われてくるのが今後の世の中だとつくづく感じます。それは、学習塾業界においても言えることです。